英検の特徴と
試験概要を説明!
各級レベル、TOEICとの比較
更新: 2024-01-15
河合塾が近年、高校生2,026名に対して行った調査によると、回答者の7割以上がすでに英語に関する検定試験を受験しており、そのうち8割は英検を受験した経験があるそうです。このデータを見ても、英検が日本でどれだけメジャーな資格試験であるか分かるでしょう。
本記事では、そんな英検の概要や受験のメリットなどを解説しました。英検の目的や級ごとのレベル、試験の全体像を知りたい方はぜひご覧ください。
※2024年度から英検の試験がリニューアルされます
英検の特徴
※本記事の内容は2022年4月時点の情報に基づいています。
英検とは公益財団法人日本英語検定協会が主催し、文部科学省が後援する資格型の英語資格試験です。正式名称は「実用英語技能検定」で、年間360万人以上が受験しています。(2020年度実施分志願者数 実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr. の志願者数の合算 : 日本英語検定教会HPより)英検が実施されるのは4〜5月、8〜9月、11〜12月の年3回です。
英検問題の特徴
英検は国内最大級の英語資格試験。大まかな試験内容は下記の通りです。
5級・4級 | リーディング(一次試験) リスニング(一次試験) スピーキング(二次試験) *級認定に影響しない |
3級・準2級・2級・準1級・1級 | リーディング(一次試験) ライティング(一次試験) リスニング(一次試験) スピーキング(二次試験) |
(日本英語検定教会HPより筆者作成)
筆記試験はマークシート形式で、一次試験と二次試験は別日に行われます。出題テーマは日常生活からビジネス、アカデミックなどさまざまです。
まずは各級のテスト時間を確認してみましょう。
3級から筆記にライティングを含む。
スピーキングは準2級から必要。
(5級,4級,3級でスピーキングは必須ではありません。)
スピーキングの試験試験は別の日にします。
| 筆記 | リスニング | スピーキング |
5級 | 25分 | 約20分 | 約3分 |
4級 | 35分 | 約30分 | 約4分 |
3級 | 50分 | 約25分 | 約5分 |
準2級 | 75分 | 約25分 | 約6分 |
2級 | 85分 | 約25分 | 約7分 |
準1級 | 90分 | 約30分 | 約8分 |
1級 | 100分 | 約35分 | 約10分 |
(日本英語検定教会HPより筆者作成)
大まかな流れとしては一次試験からおよそ3週間後にウェブで結果発表があり、その1週間後に成績表が届きます。二次試験に進めるのは一次試験に合格した場合のみで、全員が受験できるわけではありません。合格した場合、成績表に二次試験の案内が同封されています。
CSEにより国際基準で英語力を判定
英検の成績表には各級の合否と「CSE」と呼ばれるスコアが記されます。
(日本英語検定教会HPより)
英検CSEスコアでは、まず各級の満点スコアが下記のように定められています。
・5級 : 425点
・4級 : 500点
・3級 : 550点
・準2級 : 600点
・2級 : 650点
・準1級 : 750点
・1級 : 850点
英検CSEスコアでは問題数に関係なく各技能にスコアを均等に配分し、統計的手段によってスコアを算出します。「リスニングは1問5点」と配点が決まっているわけではありませんので、テストが終わってから受験者が自己採点をすることはできません。
また、不合格の場合は下記のように合格までの距離も示されます。
(日本英語検定教会HPより)
英検には「従来型」と「英検S-CBT」の2種類がある
実は「英検」には「従来型」と「英検S-CBT」の2種類があります。一般的に知られている従来型に比べ英検S-CBTは1日で試験が終了し、級も3級〜準1級までの4種類になっているのが特徴です。
| 従来型英検 | 英検S-CBT |
受験日数 | 2日間 | 1日 |
試験方式 | ペーパー試験 | コンピューター試験 |
級 | 7種類 | 4種類 |
合否判定 | 1次試験合格で合格もしくは1次試験合格、2次試験の合格をもって合格 | 1次試験合否判定、合格の場合はSのスコアでも2次試験の合否判定を行い、両方のスコアが合格基準点を超えていれば合格 |
一次試験免除 | あり | なし |
受験場所 | 準会場 / 本会場 | 本会場 |
英検の概要
ここでは英検の概要を簡単に紹介します。
英検の申込方法
英検の検定料
下記は2022年度の英検検定料です。
(日本英語検定教会HPより)
個人受験、団体受験で検定料が異なりますが、ほとんど1万円以下で受験できます。
英検の各級レベル
英検のレベルは5級〜1級までの7種類です。それぞれの目安は下記を参考にしてください。
級 | レベル | 活用目安 |
5級 | 中学初級程度 | ー |
4級 | 中学中級程度 | ー |
3級 | 中学卒業程度 | ー |
準2級 | 高校中級程度 | 入試優遇や単位認定、センター試験対策 |
2級 | 高校卒業程度 | 入試優遇や単位認定、センター試験対策、海外留学、社会人の一般的な英語力の条件 |
準1級 | 大学中級程度 | 入試優遇や単位認定、教員採用試験に優遇、海外留学 |
1級 | 大学上級程度 | 入試優遇や単位認定、海外留学、通訳案内士試験の外国語(英語)の筆記試験が免除される |
(日本英語検定教会HPより筆者作成)
5級から3級は英語の基礎的な力を確認するもので、英検を活用できるのは準2級以上だといえるでしょう。準2級からは入試優遇や単位認定などに活用でき、準1級や1級になると教員採用試験に優遇されたり、通訳案内士の筆記試験が免除されたりと大きなメリットがあります。
一次試験に合格して二次試験で不合格になった場合には、1年間一次試験が免除になります。次回受験する場合には、一次試験を受ける必要がありません。免除の対象になる際には一次試験免除申請を忘れずに行いましょう。
英検を受験するメリット
英検累計志願者数は下記の図のように年々増加しています。
(日本英語検定教会HPより)
なぜ英検は多くの人に支持されるのでしょうか?ここでは、英検の持つメリットについて解説します。
入学試験や就職で活用できる
英検は4技能がバランス良く測れるテストとして、入学試験や就職で活用できます。例えば進学においては出願資格に英検の取得が求められていたり、奨学金や給付金の申請に英検が求められていたり。就職においても英検準1級を応募資格とする求人情報も多いです。また、入試だけでなく奨学金給付制度や入学金・学費免除、英語科目の単位認定など、入試以外でも様々な場面で活用できます。
英語力を総合的に判断できるため学習目標として設定しやすい
英検は公立中学・高校の教育カリキュラムに即して設計されているため、学習目標として設定しやすいというメリットがあります。例えば3級は中学卒業レベルですので、受験することで中学英語がきちんと身に付いているか確認できるでしょう。準2級は高校中級程度ということもあり、入試対策として受験する人も多いです。英検が社会人だけでなく中学生や高校生に広く受験されているのも、学校のカリキュラムとの親和性の高さゆえでしょう。
文部科学省後援という権威性を活かせる
英検を運営する日本英語検定協会が設立されたのは1963年。同年8月に最初の試験が行われています。英検は文部科学省後援の権威ある資格試験です。そのため、その権威性を活かしてさまざまな場面で利用できます。一定の英検合格実績があれば、言語系唯一の国家資格である全国通訳案内士の英語科目の試験が免除、教員採用試験の一部が免除など、英検がいかに信用されているか分かるでしょう。
英検を受験するデメリット
英検は認知度も抜群で総合的な英語力を測るには最適なテストですが、目的や目標によって全ての人におすすめできるわけではありません。ここでは受験前に知っておきたい英検のデメリットをまとめました。
海外での認知度は低い
英検は国内の試験であるため、海外での認知度は低いです。具体的に海外での認知には、教育機関や企業で認められることが必要ですが、日本の英検はあまり海外では認知されていません。一方日本では知名度が低いIELTSのほうが海外では知られています。そのため、英検は国内で英語力を示すには最適ですが、海外で国際標準の英語力を示すには認知度と国際性が足りないといえるでしょう。
不合格になるとスコアが残らない
TOEICやTOEFLのようなスコア制ではなく英検の結果は合否判定であるため、不合格になってしまうとスコアが残りません。CSEスコア証明書を有料で発行してもらい学校や企業に提出することもできますが、不合格の場合、証明書には「不合格」と記載されてしまいます。スコア制ではないので「不合格でしたが〇〇点でした」という使い方はできないので注意しましょう。
大学や社会ではTOEICの方がメジャー
TOEICは、一般財団法人「国際ビジネスコミュニケーション協会」が実施する、英語を母語としない人を対象にした英語資格。大学や企業では英検よりもTOEICを重視する傾向があります。これにはいくつか理由がありますが、英検が学校英語を基に総合的な英語力を測るテストであるのに対し、TOEICは英語のコミュニケーション能力を測るテストであること、英検よりは海外認知度が高いこと、などが挙げられると思います。
英検とTOEICの比較
英検とTOEICは試験で求められるスキルから国際通用性まで大きく異なります。TOEICにもメリットがありますが、英検はTOEICよりも受験料が安価で受験会場が多いため、受験しやすい点が大きな違いです。ここでは、そんな英検とTOEICをスコアや語彙数、国際通用性などで比較しました。
英検・TOEICのスコア換算
英検 | TOEIC(L&R) |
1級 | 945〜 |
準1級 | 785〜 |
2級 | 550〜 |
準2級 | 225〜 |
3級〜5級 | 120〜 |
(文部科学省 資料7「英語の資格・検定試験に関する基礎資料」より筆者作成)
英検とTOEICを実施団体・実施回数・受験料で比較
| 英検 | TOEIC(L&R) |
実施団体 | 日本英語検定協会 | テスト作成: ETS 日本事務局: IIBC |
実施回数(年) | 3回 | 10回 |
受験料目安 | 2級:5,000円 準2級:4,500円 | 5,725円 |
(文部科学省 資料7「英語の資格・検定試験に関する基礎資料」より筆者作成)
英検とTOEICを語彙数・国際通用性で比較
| 英検 | TOEIC(L&R) |
語彙数 | 4,000語程度 (2級目安) | 4,000語以上 |
国際通用性 (実施国数) | 約50ヵ国 | 約150か国 |
(文部科学省 資料7「英語の資格・検定試験に関する基礎資料」より筆者作成)
まとめ
英検は公益財団法人日本英語検定協会が主催し文部科学省によって後援されている、日本で最も知られている英語資格試験です。近年では小学生の間で受験が広まっているなど、子どもから大人まで広い世代が受験しています。英検は年間360万人以上が受験するメジャーな試験。だからこそ英語力を示す指標として利用しやすいメリットがあります。
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